うさぎの巣穴

拝啓
水面の国での送詞花もそろそろ終わりの頃となります。
輪廻の中にも季節はあるのかは分からないけれど、
こちらは晩夏の、じっとりとした暑さが続いております。
　
さて。堅苦しいのはここまでにして。
今回初めて筆を執ったのは、
君にようやく、お別れを言える気がしたから。
君は僕になれないし、僕も君になれなかった。
その事実を、ようやく認められそうなんだ。
誰もが誰かの代わりになんてなれるはずない。
　
だから、この仮面を置いていく。
“めでたし、めでたし”の終わりが欲しい。
　
モノトーンミュージアム『花にわかれを、君にうたを』
──それでもきっと、舞台は成功させるから。
　　敬具

タイトル通りに“はな”と“わかれ”を主題においたシナリオです。
並列するキーワードに“あやめ”、“えんじ”、“ばんか”があります。
お別れの決意、変化のきっかけ、舞台とその裏側。
葬儀のような仄暗さと寂しさ、夏の蒼天を想起させるような空気感を意識しました。
偽物、嘘、演技。本物であろうとあがくこと、その様子。
双子ゆえの同一視、格差、隔意。
言えない本心を手紙に乗せて、祈りを込めて綴ること。
花や花束、それが咲いて散りゆく様……など。
ピンッ、とくるものがあるならおすすめです。

残酷描写、グロ描写があります。
ただ、私のサイトに足を運び私の小説を読んだことがある方なら、そこまで神経質にならない程度の描写です。
NPCを中心においた構成なので、NPCを大事にして思い入れていける方こそが楽しめます。